一番その人らしさが現れる家の空間。“好き”が詰まった“場”には、ちょっとした工夫や色合わせのこだわりが反映されているはず。そんなそれぞれ違った個性を持つ自宅の内装やインテリアについて話を聞いていく企画「イエの探求」。
今回は、商店街や喫茶店など穏やかな街の雰囲気に囲まれる、広告営業職・紗世さんのご自宅へ。大阪から上京して2つ目の住まいとなったこの家に、旦那さんと2人で暮らしています。自然光をたっぷり浴びることができる見晴らしのいい窓と、ポップな色使いのワンフロアの内装が特徴的。月に2〜3回はホームパーティーを開くという心地よい空間づくりについて聞きました。
家選びには直感を大事に
大阪から転職を機に、上京したという広告営業職の紗世さん。1年前までは井の頭線に憧れを持って職場へのアクセスも良好な明大前に一人暮らしをしていたそう。しかし、大きな窓が印象的な当時の物件を決めたタイミングは、なんと転職先が決まる前。
「前の住人の方がいらっしゃったので、直接家の中を見ずに、写真だけで決めて。幸運にもそのまま転職先に受かったのですが、内定してから家探しについて聞かれた時に、すでに決まってることを伝えたら担当者がびっくりしてて(笑)。でも、いまの家もここだけ内見して即決だったんです」
紗世さんが話す通り、現在、旦那さんと暮らしているワンフロアの物件も愛着の湧く個性的な物件だ。街全体も静かで穏やかな雰囲気が漂い、商店街や古い民家も立ち並ぶ。
「まだ一緒に住むかどうかもはっきりと決めてなかったのですが、彼にもオススメの物件サイトを日々監視するようにお願いして見つけたのが、この家でした。
内見に来たタイミングでは、まだ前の住人が暮らしていたのですが、オーナーの方も個性的で住人と密接な信頼関係を持っていることから、事前に了承を得た上で、中を案内してくださりました。
ちょうど日差しが綺麗に入る時間だったことに加えて、実際に前の住人の方のインテリアが揃っている状態で内見することで、よりイメージも湧きました」
そうしたオーナーと住人の豊かな関係性は、マンションの成り立ちに由来しているんだとか。
「もともと友人や知人を集めてきて出来たマンションらしいです。書道家やアーティストなど様々な人々が集っていたと聞きました。だから部屋の内装も各部屋で違っていて、一般的な部屋もあります。
わたしたちの部屋は、元々ドアや壁のペンキが塗ってあって、ウッド調の床も昔に住んでいた方々がDIYして出来たインテリアデザインです」
リビングの壁沿いにあるホワイトの書棚も、元々備え付けのものを活用。棚の仕切りも、ちょうど小説や収納ができる高さに作ってある。
インテリア好きな母親の影響
そんなユニークな背景を持つ部屋に広がる家具のほとんどは、紗世さんのもの。
ワンフロアの中に、さまざまなテクスチャとカラーがうまくひとつにまとまっている。その雑貨の一部には、自身のお気に入りのスカートをもとに母親が手作りしたというクッションカバーもある。
そうした紗世さんのインテリアセンスに影響を与えたのも、実際に母親の存在が大きかったそう。
「いまでも実家に帰るたびに模様替えがされているほどに、そもそもお母さんがインテリア好きなんです。
小さい頃からお母さんに連れられて、妹と一緒に雑貨屋、海外アンティークのお店によく行ってました。みんな好みが似通ってるから、実家に住んでいる時も妹と一緒に住んでいた部屋も一緒に買うことが多かったですね。
そこでも特にこだわりを持っているわけではなく、直感的に良いと思ったら買い集めていました」
東京に引っ越してきてからも、その感性は変わらず、リサイクルショップから掘り出し物を見つけることにワクワクするんだとか。“好き”が見つかるオススメのお店を紹介してくれた。
「東京各地にある『TOKYO RECYCLE imption』、馬喰町の『HYST』、台東区の『EXPO』にはよく行きますね。特にオンラインでチェックしてから欲しいものを決めていくわけではなくて、お店を何軒か回って感覚で決めるタイプです」
みんなで食を囲う楽しみ
明大前で一人暮らししている時は、友人宅のホームパーティーに訪れることが多かったが、いまでは自宅で月に2〜3回開いている。ロールカーテンにプロジェクターで映画を流す傍ら、キッチンとシームレスに繋がっている空間だからこそ、みんなで料理を作るのも楽しめるという。
そして食事の楽しみは、旦那さんとの共通の趣味でもあるんだとか。
休日は遠出しても気になっている料理店を訪れて、ふたりで食を堪能する。
ほかにも週末の楽しみ方として、浅草やお台場など1時間圏内の場所に散歩やサイクリング。
長い休暇にはフェスやライブに訪れたり、友人とキャンプをして過ごす。
そんな友人と食に囲まれながら、お家での時間を豊かに過ごす紗世さんが描く理想の家とは?
「いまの家と変わらず、リビングからキッチンまでシームレスになっているゆとりのある家が理想ですね。それも小さい頃から、基本的に家族みんながリビングで過ごしていたことが影響しているかもしれません。
天高で外の景色を感じられる大きな窓も憧れます。実家で母親がガーデニングをしていたこともあって、窓から中庭にもつながるデザインだとより開放感を感じられそうですね。都心部からもう少し離れて、鎌倉や自然溢れる場所にも興味があります」
幼少期から母親の影響を受けてきた“好き”に溢れる紗世さんの家づくり。パートナーと過ごす日常も友人みんなで集うひとときも、そんな愛に溢れた空間であればいつでも楽しめる。
自然へと開放的になれる住まいで暮らすことで、ますます楽しい思い出が増えていきそうだ。
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STAFF
[Text]
YOSHIKO KURATA