誰かの明日を照らすモノ作り。思いの詰まったレトロな一軒家|イエの探求 | UNSTANDARD(アンスタンダード)
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2023.12.1

誰かの明日を照らすモノ作り。思いの詰まったレトロな一軒家|イエの探求

誰かの明日を照らすモノ作り。思いの詰まったレトロな一軒家|イエの探求

誰かの明日を照らすモノ作り。思いの詰まったレトロな一軒家|イエの探求

 

一番その人らしさが現れる家の空間。“好き”が詰まった“場”には、ちょっとした工夫や色合わせのこだわりが反映されているはず。

そんなそれぞれ違った個性を持つ家の内装やインテリアについて話を聞いていく企画「イエの探求」。

今回はサンキャッチャーを中心にパワーストーンやシルバーを用いたアクセサリーを手掛けるハンドメイドアーティストとして活躍するYuikaさん。

 

アクセサリーやインテリア、DIYなどで彩られた家で、自らの手で家づくりを楽しみながら暮らす彼女。

これまでのキャリアや歌手活動時代の苦労や葛藤、モノ選びのこだわりから作品作りの魅力や楽しさをお聞きした。


内見ナシで契約。自然に囲まれたレトロな賃貸一軒家

周囲には景観を遮る建物もない、一軒家が立ち並ぶファミリー層向けのエリア。

時折、子どもたちの楽しげな笑い声が響く自然に囲まれたこの場所に、Yuikaさんのご自宅は位置する。

 

彼氏さんと愛犬と暮らし始めてまだ一年にも満たないという現在の家は賃貸には珍しい一軒家。

ハンドメイドアーティストとして暮らすYuikaさんの趣味だというDIYで作った家具や小物が5LDKの間取りの要所に散りばめられている。

 

お互いの実家が一軒家で、都心の物件と比べても土地が広く大きかったため、なるべく同じような環境に住みたかったという理由でマンションではなく現在の物件を選んだという。

 

半年ほどかけて物件を探し続け、出会った今の家は、日当たりも良く都内へのアクセスもスムーズで、少しレトロな雰囲気が決め手。

 

「好立地で諸々の条件も申し分なかったので、他の誰かが成約する前に決めたくて!内見はせず外観だけ見て、あとは書面上で間取りや細かい部分を確認して決めました」

 

それほどまでに魅力的だった家は住む前とのギャップはなく生活は快適そのものだという。

5LDKの間取りにはYuikaさんと彼氏さんそれぞれの作業部屋のほかに、リラックススペース、衣装部屋などを備えており、部屋数の多さも一軒家ならではといえる。

 

あえてカーテンを付けずに自然光をふんだんに取り入れた作業部屋の窓際には、作品に使う石や金具が綺麗に並び、制作中だというサンキャッチャーが陽の光を通して、生まれたたくさんの小さな虹が溢れている。

周囲は一軒家ばかりで日を隔てる高い建物がない故にどの部屋にいても自然光が多く差し、暖かな雰囲気で包み込まれている。

「実家で暮らしていた時は、自室が作業スペースでした。手を休めるにも、どこか落ち着かなくて。

今は用途に合わせた部屋があるので、オンオフの切り替えもできて精神的にも楽になりましたね」

 

日によっては寝食を忘れて作業に打ち込むこともあるというYuikaさんだが、日本とアメリカのミックスの彼氏さんの影響もありワークライフバランスは常に意識している。

多忙な合間のリラックス方法は、お菓子を作ったりコーヒーを淹れたりして過ごすことが多いという。

その様子が浮かぶかのようにキッチンには無数の調味料やスパイスなどが置かれ、どこか懐かしいデザインのイギリスのメーカーだというツードア式冷蔵庫やアンティーク調の食器、ステンレスの質感も相まってカフェのようだ。

白を基調に少しレトロなデザインの家電を集めているというYuikaさん。

築年数が少し経過している家のどこか懐かしく、暖かな雰囲気は肩肘張らず丁寧に暮らす自身の生活やライフスタイルともマッチしている。

ダイニングを見渡すとキッチンの食器ラックや棚までYuikaさんのDIYで作った家具やアレンジで溢れ、また生活感を抑えるため、木の板で塞いだインターホンも違和感なく溶け込んでいる。


少し先の未来を見据えたDIYとモノ選び

「DIYにハマったのはコロナが流行りだした頃でした。外出するのもはばかられるような雰囲気で、変わり映えしない実家の部屋に籠もる暮らしにも次第に飽きてきて。

住む空間くらいは新鮮さが欲しいなと思い、YouTubeを参考にDIYを始めました」

 

現在では、調理器を収納するキッチンツールのほか、愛犬のケージまでDIYするほど手慣れた様子。

YuikaさんがDIYで制作した愛犬のケージ

自身で木の板をノコギリで切ったり、ビスを打ちつけたりと日曜大工的なDIYを日頃から楽しむYuikaさん。

既製品の家具もアースカラーを中心にDIYした物とトーンや雰囲気などを合わせて選んでいるという。

木目の暖かな雰囲気のブラウンを基調とした家具に、スピーカーや時計などのインテリアも同系色でまとめ、観葉植物の鮮やかな緑が家内の世界観にさらに統一感を持たせている。

 

「コストも抑えつつ、自分好みの雰囲気に合った物を作れるのが魅力です。ここはこうしたいな〜って思ったら作っちゃえば良いので!もちろん少なからず手間はかかりますけど、それも作った一つひとつに愛着が湧く理由になります。」

なるべく新しい物を買わずにDIYで作るほか、蚤の市やフリーマーケットなどで購入することが多いというYuikaさん。

 

「服も古着を好んで着ています。こんなに世の中に物がたくさん溢れているので、なるべく新品は買わずにこれから先も長く使えたり一度は誰かの手に渡った物を選ぶようにしています。

ヴィンテージはそのデザインだけではなく、それまでモノが辿ってきた時間や、その時に出会えたタイミングも魅力です。

大切に使われてきたからこそ出会えたので、私も丁寧に接したいなと思います」

 

そんなYuikaさんのモノ選びのポイントはやはり長く使えること。

 

「私達が暮らしている間は壊れなきゃいいという意味ではなくて。もしご縁があって誰かの手に渡った時にも大事に使われて欲しいんです。

今こうして私達の生活を彩るモノが未来で誰かの暮らしを豊かにするかもしれません。そんな思いでモノを選んでいます」


歌手を諦めたその先。原体験はジュエリーに囲まれた幼少期の日々

現在ハンドメイドアーティストとして「daisy doe」を運営し、オンラインストアではアップした作品が即完することもしばしば。

本格的に活動してまだ2年という短いキャリアで、サンキャッチャーの販売を皮切りにファンも増え順風満帆にも見えるYuikaさん。しかし、現在に至るまで葛藤や苦労があったという。

 

「物心ついた時からずっと歌手になるのが夢でした。

小学校にあがると友達と遊ぶ時間も惜しんで歌とダンスのレッスンに通うくらい、強く憧れていて。専門学校では英語を学んでいたんですが、大学の芸能コースに編入してより本格的に夢を追う決意をしました。

卒業後は、バイトを掛け持ちしてテレビのオーディションを受けたり、ライブハウスで歌ったりする日々でした。でも中々上手くいかなくて。ある時、自分の中でやり切ったなという思いが生まれ、この先の将来を考えて一度立ち止まってみたんです。これまでの人生を回想してるうちに、現在の職業のきっかけとなる思い出が蘇ってきました」

 

一度は諦めた夢。

現在のアーティストとしての道は、幼少期の原体験まで遡る。

 

「元々祖母がクリスタルや宝石が好きで集めているのを見て、幼少期は宝石屋のチラシを切り抜いて遊んでいました。

母親も祖母の影響かクリスタルや天然石にハマっていて、小さな頃から身近な物として私も自然と集めるようになっていきました」

 

現在天然石を中心にサンキャッチャーやアクセサリーなどをハンドメイドで制作するYuikaさん。

天然石の魅力とはなんなのだろうか。

 

「アクセサリーとしても人気のある天然石ですけど、1番の魅力は自然が作り出しているものということだと思います。

石には元来の美しさのほかに、それぞれに込められた願いがあり、一種のお守りとして生活を彩ってくれます」

様々な仕事や活動を経て現在フリーランスのアーティストとして活動するYuikaさん。

企業に属さないで、生きていこうと決めた時はとても不安だったという。

 

「どんな職業にも辛い瞬間はやってくると思います。だったら自分が好きなことで生きていきたいなって。

作った作品を通して少しでも誰かの一日を『今日も頑張ろう』と前向きな後押しができたら私が活動する意味はあると思っています。

購入していただいた方達からは『朝起きるのが楽しみになった』『ふと目に入るたびに明るい気持ちになる』などの声をいただいています。

私なりの思いを作品を通して誰かの心に届けて、少しでも元気づけたいと歌手活動時からの根底の考えとしてあったので、形や方法は違えど今も昔も作品に込める思いは変わらないです」


繋げる思いのバトン。照らす光は見知らぬ誰かのために

一度は諦めた歌手の道は数年後、不変の思いを形にするハンドメイドクラフトのアーティストとして人々の生活を照らす。

日々の生活や、リラックスした時間を過ごす中で頭の中でイメージを膨らませて作品へと昇華していくというYuikaさん。

外からも見える二階の作業部屋の窓には様々な色・形のサンキャッチャーが風と差し込む陽の光でキラキラと揺れている。

 

今後は使われなくなった物を誰かの生活の一部へと変えていくアップサイクルを意識した作品を展開していきたいという。

また在庫管理を兼ねている作業スペースもそろそろ手狭に。

人と対面で作品に込められた思いを伝えたいという考えから店舗も兼ねたアトリエを構えたいという。

DIYも作品作りもこれから先のこと、見知らぬ誰かのことを思い浮かべながらその気持ちを形にしていく。

想いのバトンを繋ぎながら誰かの明日を明るく照らすアーティストとして活動するYuikaさんの家づくりには、自分以外の未来やモノの在り方を改めて考えるきっかけをくれる。

NONDESIGN

STAFF
[Text] kohei kawai