家を通して暮らしを楽しむ人の、家づくりにまつわる情報を発信。家とライフスタイルの関係性を探り、“好き”が詰まった住まい方を紹介します。
今回は、石川県で暮らす屋敷 円香さん宅を訪問しました。結婚を機に地元の石川へ移住。そして家を建てることに。現在の場所に家を建てた理由や、家に対してどんなこだわりを持っているのかをお聞きしました。
大好きな海外ではなく、地元を選んだ理由
大きな木々がそよぐ、緑に囲まれた場所に立つ二階建ての一軒家。玄関があるフロント部分は、木板が打ち付けられた鎧張りで美しい木目がアクセントとなっている。
日本で暮らしながらも、ヴィンテージのアイテムを買い付けるために頻繁にアメリカやオーストラリアへ足を運ぶ屋敷さん。海が好きで、取材の1週間前もバリにいたそうだ。
自宅には、海外に滞在する中で得たエッセンスが散りばめられている。どこかヨーロッパのようで、アメリカのようで…〇〇風と決めつけることができない、独自の格好よさを持つ空間だ。
海外を行き来するにも関わらず、なぜ石川県で家を建てることを選んだのだろうか。
「結婚を機に家を持つことにしたんですが、長い目でみたらやはり日本かなって。
最初は海が近い沖縄や南伊豆に住むことも検討していたんです。でも義実家がとても広い土地を持っていると聞いて見に来てみたら、旦那が『ここにスケボーパークつくったら面白そう!』と言い出して(笑)。最終的にここに決めました」
2人とも石川県の出身で、なんと高校の同級生。長い付き合いの2人だからだろうか、意見がぶつかることもなく、互いの趣味・思考を尊重しながら家づくりを進められたそう。
「旦那からの要望は家の前の車庫を自分専用のスペースにしたい、スケボーパークをつくりたいという2つだけ。あとは好きにしていいよという感じだったんで、ほとんど私の好みでコーディネートさせてもらいました。
私は可愛らしいものより、基本的にユニセックスなデザインが好きなので、そこは信頼して任せてもらえたのかなと思います」
アンティーク家具を中心に空間をデザイン
ゼロからの家づくり。屋敷さんの頭の中に浮かんでいたのは、海外を旅する中で見たホテルや家のデザイン。
「海外で滞在する家は、レモンの木が生えている広い庭にウッドデッキがあって、そこでご飯を食べたり、ハンモックで昼寝をしたり。プールもあって、家で1日過ごせる。そんな空間が我が家でもつくれたら最高だなって。
あとは、オランダでは宿泊施設として部屋を貸し出しているお宅に泊まったんですが、キッチンやリビングの雰囲気がとても心に残っていたので参考にしました」
家づくりの中でも、特にこだわったのはキッチン。
「ステンレスの天板の厚さを決めて、それに合わせて天板下の部分を造作してもらいました。将来子どもができたらカウンターとしても使いたいので、オリジナルでつくってもらうことにしたんですが、結果的に玄関ドアや勝手口、下駄箱も全体の雰囲気と馴染むように、造作になりました」
部屋の印象を決める大きな家具や扉は、アメリカやヨーロッパのヴィンテージ品。
これらの家具に合わせて、天井や床の色をチョイスした。
「家を建てる前から、行く先々のヴィンテージショップでいい出会いがあったら購入するようにしていたので、ドアもサイドボードも棚も1年以上車庫で待機していました」
お気に入りの家具やインテリアを中心に空間をデザインする。日本ではまだまだ浸透していないが、海外ではポピュラーな考え方なのだそう。
家づくりに必要なのは忍耐力⁉︎
細部までこだわりを持って挑んだ家づくり。海外の雑誌やInstagramを参考にしながら、イメージを固めていった。
しかしイメージしているものと実際の大きさの違いが把握しきれず、苦労したことも多かったそう。
「いくらパースを見せていただいても、数字では実際の大きさが想像がつかなくて。
洗面所の鏡をはめてみたら、予想以上に大きくて…!キッチン、リビング、寝室と決めないといけないことがたくさんあって予想以上に大変でした(笑)」
特に難しかったのは、天井の色。部屋のイメージを左右する大事な部分だ。
「天井にベニヤを貼って、その上に家具や床に合わせた色を塗っていただいたんですが、ベニア自体の色が1枚1枚違うので色がバラバラになってしまって。上から色を重ねて調整していただいたんですがうまくいかなかったんです。
結局、再度ベニヤを張り直してもらいました」
こだわりを集めてようやく完成した我が家。理想を叶えるためには、たくさんの選択をし、次から次へと湧いてくる問題点を乗り越えなければいけない。
家づくりをする上で大切なのは、情報収集と忍耐力だと屋敷さんは話す。
「やはり言葉では伝わらない部分も多いので、自分のイメージに近い画像や資料をたくさん集めておくことが大切だなと感じました。沢山決めることがあるので、長丁場になるほど疲れちゃう。家づくりには、忍耐力も必要です!」
夫婦の“好き”を家に詰め込んで
家を建てる前までは、外出することが多かったという屋敷さん夫妻。
自分の“好き”に実直に向き合ってつくった家だからこそ、愛着も大きいそうだ。
「これまでは、基本カフェで仕事をしていましたが、家を建ててからは外出することは少なくなりました。旦那も車庫を自分の秘密基地みたいにして、趣味のものをあれこれつくっているみたいです。友達も、ここで集まることが多くなったかもしれないですね」
庭の奥には広い敷地があり、旦那さん念願のスケボーパークを建設予定。趣味のスケボーを心ゆくまで楽しめる。
「旦那の友人に、公共のスケボーパークも施工しているプロの業者がいるので、その方にお任せします。
水を溜めるとプールにもできるそうなので、楽しみですね。きっとこれからスケボー仲間がたくさん来ると思うので、空いている2階を宿泊スペースにしたいと思います」
将来的に2階は子ども部屋にする想定で、夫婦の生活は1Fだけで完結する動線にしている。
さらに子どもが独立した後は、またフリースペースとして使えるように。余白を持たせておくことで、用途に合わせて部屋の役割を変えることができる。
「1階に私と旦那それぞれにウォークインクローゼットがあり、お互いの好きなものを詰め込めるスペースを確保しているんです。
今はリビングに物がなさすぎてがらんとしすぎているので、これから、写真や絵も飾りたいですね」
好きなものにはとことんこだわる2人だからこそ、それぞれの空間を確保しておく。それがきっと、互いに居心地良く過ごすために必要なこと。
「お互いが趣味ややることに没頭して、それぞれがこの家で心地よく過ごしています。
もちろん一緒に過ごすリビングには、2人が好きな植物を飾っています。友人が花屋をしているので、季節ごとにお花を買って飾ったり。近所の方がお花をくださることもあるんですよ」
シンプルな空間に映える植物やお花。春は桜、夏は新緑…と季節の移り変わりも楽しめる窓もある。美しい自然と共存しながら、深呼吸ができる家。
海外での景色も素晴らしいけれど、やっぱり戻ってきてほっと落ち着くのはこの景色なのかもしれない。
夫婦2人でゆっくり1日を過ごす日、友達と集まってわいわいと楽しむ日、そして子どもが生まれて笑い声に包まれる日。
こだわりがたくさん詰まったこの家で、これから夫婦の歴史が刻まれていく。
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STAFF
[Text]
YUKARI MIKAMI