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2024.03.8

“人を繋ぐ”アメリカンガレージ 追憶する“旧き良き”ロマン

“人を繋ぐ”アメリカンガレージ 追憶する“旧き良き”ロマン

“人を繋ぐ”アメリカンガレージ 追憶する“旧き良き”ロマン

 

家を通して暮らしを楽しむ人の生活のアイデアや家づくりにまつわる情報を発信。家とライフスタイルの関係性を探り、“好き”が詰まった住まい方を紹介します。

今回はアメリカンヴィンテージ雑貨を取り扱う「CANDY STORE ROCK」を運営する吉田さんの自宅へ。約130平米の敷地にはアメリカ全土から集めた雑貨類を集積したショールームを兼ねた吹き抜けのインナーガレージを備える。統一された世界観やブレない家づくりのコンセプト、コミュニティスペースとしてのガレージの存在など家づくりのこだわりについて聞いた。


旧き良きを知る 魅了されたオールドアメリカンの世界

吉田さんは大学を卒業後、繊維の専門商社に就職。

 

仕事を通してたくさんの生地に触れ、専門知識を蓄えるにつれて、デニムなどに代表されるアメリカ製のプロダクトのタフさや生地そのものが持つ背景などに魅了されていった。

 

「仕事を通して、たくさんの国や地域の生地に触れてきました。アメリカ製の生地は、他の国にはない耐久性のほか時代の移り目、カルチャー的な背景を多分に含んでいるのが面白いなと興味を持ち始めました」

 

例えばヴィンテージデニム一本をとっても長い年月を経て現代に存在する。

 

「誰かの手に渡ることを繰り返しその度に、持ち主の生活環境に染まり無数に作られたそれらもオリジナルの風合いやクセを纏っていきます。経年変化とそれに耐えうる耐久性、ひいては質の高さがアメリカ製品にはあります」

 

こうして生活環境や仕事を通してアメリカンカルチャーに自然と惹かれていった吉田さん。

 

26歳の時には、今のライフスタイルや家づくりの基礎となる愛車のマスタングを購入。これを皮切りに本格的にアメリカンカルチャーに傾倒し始めたという。

それから徐々に小物にも食指が動き始め、現在ではランタンやクーラーボックスをはじめとしたアウトドア用品から、フィギュアやぬいぐるみ、ファイヤーキングなどのグラスや陶器、ポスターやペナント、古着、マッチに至るまで多種多様なジャンルのアメリカンヴィンテージアイテムを収集し販売する「CANDY STORE ROCK」を立ち上げるまでに至った。

「会社勤めの時と違って、本当に自分の好きな物を扱っているので手元に残しておきたいなって物も商品として売らなきゃいけないっていう。マニアならではの悩みはありますね(笑)」

 

自宅の敷地内にある実家もアメリカンハウス仕様で幼少期から自然と影響を受けてきた。車好きが高じて都内ではなく、広い土地を活用できる実家の土地に居を構えるに至った。

 

ショールームを兼ねるインナーガレージには愛車のマスタングを取り囲むように所狭しと商品が陳列され、現地アメリカのはずれにあるガレージのようなリアルな土臭ささえ感じる本格的なスタイルだ。


見下ろすガレージ アメリカンスタイルと東京の憩いの場をオマージュ

新婚旅行で初めて訪れたアメリカでは土地が広く、街の景観を意識したデザインや区画全体を考慮した家づくりに感銘を受けた。日本の場合それぞれの家に和洋それぞれのつくりや仕様、外観づくりで一軒ごとにバラバラなスタイルが特徴だが、アメリカでは真反対の印象を受けた。

「アメリカでは地域全体に統一感があるので、一軒毎に色味が違っても変に浮いた雰囲気を感じさせないのが素敵だなって」

 

吉田さんの自宅は象徴的なインナーガレージのほかにも居住スペースや間取りにも憧れのアメリカンハウスの要素を映し出している。

アメリカの住宅はドアを仕切りに部屋同士が繋がっているため廊下が少ない、またはないのが特徴。吉田さん宅も例に倣って、玄関ドアを開くとすぐにリビングが広がる。廊下を省くことで視覚的にも広さを感じさせるほか、生活動線が短くなることで暮らしやすくスペースを有効活用している。

 

また、リビングからはインナーガレージ全体をガラス越しに一望することができ、階段を数段下るとすぐに辿り着けるのも特徴。

「リビングからガレージを見下ろせるようなつくりは、『Nui.』という台東区・蔵前のホステル兼バーに影響を受けています。2年ほどそのエリアに住んでいて、多様なジャンルの人々がたくさん訪れ、交流する場所でした。当時足繁く通ったその場所への思い入れが深くて、仕様を取り入れました」

 

ガレージへと続く階段のそばには、ある種少し違和感も感じる洗面台が配置されている。

 

「お手洗いに洗面台も入れたかったんですけど構造上難しくて。仕方なく外にはじいた形です。本当の意味での独立洗面台になりました」

 

そんな洗面台の位置でさえ、日本の一般的な家にはない独特なムードを加速させているようだ。


自分だけの空間から地域のコミュニティースペースへ

吉田さんが『Nui.』で過ごした時間や人との繋がりを、インナーガレージという空間を通して色んな人に体感して欲しいと、一般的なガレージにはない空間づくりになっている。

 

「普通はガレージって鉄やアルミ製のシャッターが上からガラーっと降りてくるイメージですよね。僕のガレージは、観音開きの木製の窓付き扉で空間をぴったり密閉できるので、外と部屋をしっかり区別できるんです」

インナーガレージは2階へと続く大きな吹き抜けも特徴。

アメリカのヴィンテージショップを彷彿とさせる吹き抜けやシーリングファンの回る高い天井は、2階の住居スペースを削ってでも叶えたかった理想。

実際にこれからガレージをつくろうとする人や商品の購入を目的としたお客にはアポイント制で、実際に足を運んでもらいガレージやアイテムの世界観を伝えるようにしている。

 

アメリカの田舎の納屋をイメージした吉田さん宅は、商品として陳列されるアイテムも少し土っぽい印象で、そういったガレージをつくりたい人が多く訪れるという。


アイテムの年代や色味にも妥協しない 自己流アメリカンスタイル

また吉田さんのインナーガレージは、70年代までの物を中心としたアイテムで構成されているのもマニアならではのこだわりポイント。

「80年代以降からはどのアイテムにしろ、色使いが明るめなものが多くなります。意識すべき点はコンセプトと時代にあった物品を選ぶこと。ポップにしたいのか土臭い雰囲気にしたいのかは選ぶアイテムに左右されます。それを決める基準はガレージのメインを“何にするのか”です。車なのか全体の雰囲気づくりを優先したいのか。例えば、車の時代背景とガレージのづくりや雰囲気を揃えないとチグハグになって何を強みにしたいのか分からなくなるので、そこもこだわりたいポイントですよね」

 

インナーガレージの壁に目をやると一際存在を放つアイテムが。

「このスカジャンは50年代の物で、たまたま新婚旅行で訪れた家具屋さんの地下室で見つけたんです」

 

相場と比較しても安価で、偶然の巡り合わせで出会えたことも含めて思い入れのある逸品だ。1950年代は第二次世界大戦からの復興期で、世界的に見ても目覚ましい経済的発展を遂げた年代でもある。

 

「アメリカ国内のヴィンテージは、昨今の古着ブームもあって普通に探してもまず見つけられません。でも、このスカジャンと出会えたことで、まだこんなお宝がどこかに眠ってるんじゃないかって可能性も持てたんですよね。こういった物とまた出逢いたいと思って宝探しを続けています」

 

服をはじめ、多種多様なアイテムに触れてきた吉田さんが感じるヴィンテージの魅力とはなんなのだろうか。

 

「ヴィンテージを語る上でのキーワードは大量生産”かつ“高品の2つです。服に限らず、工場でつくられた大量の量産品でも、素材の使い方や色合いが大胆で面白い物が多いです。デザインはともかく質が良くて。質がいいから今でも手に取れる形で残っているし、大量につくられたからこそ価値が付けられるんです。あまりに数が少ないと希少であってもそれに価値が付随するとは限りませんから」

自身の憧れた世界観を実現するために万進する吉田さん。

 

過去の文化を模倣するのではなく、“今”に合った要素を掬い取って自分のスタイルに落とし込む。長い歴史が育んだこだわりやエッセンスを“選択”する面白さも醍醐味のひとつだ

常にフィーリングや自分自身とチューニングしながらつくり上げるスタイルが形つくる先には、自分色に染まった模倣ではない現代的なアメリカンスタイルが見えてくるだろう。

 

“人を繋ぐ”アメリカンガレージ 追憶する“旧き良き”ロマン

STAFF
[Text] kohei kawai