一番その人らしさが現れる家の空間。“好き”が詰まった“場”には、ちょっとした工夫や色合わせのこだわりが反映されているはず。そんなそれぞれ違った個性を持つ自宅の内装やインテリアについて話を聞いていく企画「イエの探求」。
「ドン引きしました」と、まだ恋人時代、夫の島津さんがひとり暮らししていたこの家を初めて訪れたときのことを率直に打ち明ける中島さん。ひとり暮らしに似つかわしくない広さと、ハウススタジオにできるほどの空間演出。そののち同棲、結婚すると、そこに彼女の求心力が掛け合わさった。多いときは30人。友人たちがこぞって集まり、我が家のごとく悠々過ごす。そんな“大家族”の主は、定位置のキッチンに座り、話しはじめた。
以前はハウススタジオでもあった。
構造的に必要な梁だけを残した90平米ほどのワンルーム。ベッドやチェアといった家具をのぞけば、備え付けられたのは、存在感たっぷりなのに静謐なアイランドキッチンと、そして木造された“ボックス状の部分”。その壁面は、ところどころが忍者屋敷さながらのシーリングドアになっていて、押すと、ガコンと開き、クローゼットやバス・トイレが現れる。
「“ライフレス”ってよく言われます」と、中島さんはどこか他人事のように告げながら、キッチンに何脚もあるハイチェアのひとつにやおら座る。
そこが定位置なのだと疑いようがないほど板についていたが、くつろいでいるのとも違う。モデルという職業柄だろうか? どこか彼女もゲストのようだ。
彼女がここに暮らしはじめてしばらくは、ハウススタジオとして貸し出してもいたという。その習慣がまだ残っているのかもしれない。
朝、スタジオマンのように自宅に“出勤”し、必要なことを言い渡して出ていき、夜また戻ってくる。そんな生活を半年ほど続けると、セキュリティーや管理の大変さに辟易し、また愛犬・ノワールを迎え入れるタイミングとも重なったことから、スタジオ貸しは辞めることにした。
いっぽうで、「そもそもは、旦那さんが、付き合う前にひとり暮らしをしていた家なんです。だから、私が決めたことはじつはひとつもなくて」と、他人の家に来たような絶妙な落ち着かなさの理由の一端に、そんな経緯も覗かせる。
「ちょうど出会った頃、『友達のインテリアデザイナーと一緒に家をつくってる』みたいな話を聞いていました。日本にあまりない広いワンルームを、って。その後付き合うようになって、ここに遊びにくるように。そして同棲しはじめたんです」
第一印象はどうでしたか?と訊けば、「ドン引きしましたよね」と、包み隠さず笑う中島さん。
「彼氏ん家がコレって、ヤバくないですか?(笑) 陽キャなのかな……?みたいな。でも、彼自身はそういう性格でもなんでもなくて、内向的なくらい。陽キャはむしろ私で、友達呼んでパーティーとか、大好き。なので、もう持ってこいの環境ですね」
ときめくのは、自分にゆかりのあるもの。
見ての通り、いわゆる生活感はないが、そのぶん、骨董品を中心とした“手触り”や“温かみ”が際立つ。
「そのインテリアデザイナーと旦那さんは、ギャラリーも運営していて、一時期骨董集めにハマっていたときがあるんです。そうした“ひとと被らない物”は、私も好きですね。昔は古着とかめちゃくちゃ着てて、それも同じような理由からでした」
そう聞いて気になったのは、「私服はすべて黒」という中島さんの“パブリックイメージ”だった。
彼女自身もそう公言しているし、実際この日も、「夫婦ともに100%黒です! 携帯の待ち受けも、偶然、出会ったときからふたりとも真っ黒で(笑)」と、あっけらかんと言い放った。
でも、オールブラックは、それだけでひとと被りやすい。彼女が夫の影響で骨董を好むようになったことや、古着を選んできた理由には、“ひとと被らない”以上のなにかがある気がした。
「たしかに。なんでだろう……」と、しばらく考えあぐねて出てきたのは、「身の回りのみんなで循環させたいと思っているんですよ」という意外な視点だった。
「たとえば洋服は、基本的に友達がつくったものしか着ません。あとは、撮影でお世話になったブランドの服とか。撮影でいただいたギャラは、せっかくならそのブランドの展示会で落としたい。見知らぬひとがつくった何かには、あまりときめかないかも。骨董も、『このひとが選ぶからいい』と思えるし、料理も、『このひとがつくってるから食べてみたい』し、使われている器も気になる。できるだけ、ゆかりのないものを身近に置きたくないんですよね。夫婦ともども」
さらに根っこを探れば、「幼少期から、両親もいつもそうでした。仲のいい友人たちが家によく集まっていた。身近なひととの関係をとくに大切にしていたんだと思います」と、手の届く循環や繋がりのなかに投じることは、幼少期からすくすくと育んできた至極当たり前のいとなみ。
そしてそれは、“物”だけでなく“ひと”も、しかるべくつねに、たぐり寄せてきた。
気の置けない“大家族”が、30人も集まる。
「とにかく、ひとが来まくりますね。それも急に」と、ぶっきらぼうに、でもまんざらでもない様子で話す中島さん。
「出張宿みたいに使う友達もいるし、例のインテリアデザイナーなんかは仲が良すぎて、来て早々まずは風呂に入り出す(笑) 子ども連れや、ワンちゃん連れでも来やすいって言ってもらえます」
キッチン脇の梁には、その“証拠”が刻まれている。大家族の実家さながら、集まる友人たちの身長の記録だ。
「とくに小さい子たちは、ここに来るたびに背が伸びていくから、いいですよね。みんな家族です」
クリスマスや結婚祝いなど、多いときには、30人程度がここに集まって過ごすこともあるという。
「外で集まるとすると、事前に店を押さえなければならないし、時間に制限もあったりする。そのあとどこ行く?ってことも考えなきゃいけませんよね。それに比べると、家に好きなお酒を持ち寄って、たまに友達のシェフを呼んだりして、ってやると、簡潔だし、みんな気ままにいられて最高です」
そうした気の置けない友人たちとの水入らずの自宅飲みでも、彼女はというと、いまと同じようにキッチンにいて、くつろぐよりももてなしているのがつねだという。
「本当にここが定位置ですね。全体を見渡せた方がいいし、色々と動き回るので。じつはふだんから、あまりそっち側(リビング)に座ることがないです。ベッドでくつろぐ時間以外は、ソファでゆっくりすることもほとんどないし、その椅子も、その椅子も、数回しか座ったことないかも(笑)」
暮らしはじめて4年目というのに、まるで使いこなしていない。“ゲスト”のように見えたのも、さもありなん、すとんと腑に落ちた。
自宅で叶わなかった“サウナの動線”も完璧!
そんな中島さんに、もしNONDESIGNの家に住むとしたら?と訊いてみると、「サウナ付きもあるんですか⁉︎ はい、もうここしかないですね」と、脇目もふらず選んだのはNONDESIGN SAUNA+PLUS Bathだ。
近所の銭湯や、足を伸ばして草加健康センターへなど、ふだんから、“家族”もとい身近な友人たちとともに銭湯やサウナを楽しむことが多いという。
「行くぞ!ってときは、みんなの家を車で経由して、拾いながら向かいます。なにごとも、“小さく楽しむ”みたいな感覚がないんですよね」
また、自宅にサウナを備えている友人もいるそうで、「みんなでサウナ入って、そのままご飯食べて、みたいなの、やっぱりめっちゃいいんですよね」と、サウナが身近な暮らしのよさも身をもって体験。そればかりか、自宅にサウナを設置しようと本気で検討したこともあるという。
「ここのベランダにサウナつくろう、みたいな話もあったんです。でも、お風呂からの動線が悪くて、諦めました。NONDESIGN SAUNA+PLUS Bathは動線も完璧ですよね。水風呂も外気浴もあって、サウナを置くためのつくりに、ちゃんとなってる」
大家族が集ういまの暮らしの延長に間違いなくフィットする、サウナのある家。その想像のなかでも、彼女はやっぱり自分のくつろぎそっちのけで、サウナよりキッチンにいる気がするけれど。

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STAFF
[Text]
MASAHIRO KOSAKA(CORNELL)