視覚の広がりで空間に奥行きを 異素材が織りなすハーモニー|家づくりnote | UNSTANDARD(アンスタンダード)
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2025.02.21

視覚の広がりで空間に奥行きを 異素材が織りなすハーモニー|家づくりnote

視覚の広がりで空間に奥行きを 異素材が織りなすハーモニー|家づくりnote

視覚の広がりで空間に奥行きを 異素材が織りなすハーモニー|家づくりnote

 

家を通して暮らしを楽しむ人の、家づくりにまつわる情報を発信する家づくりnote。家とライフスタイルの関係性を探り、“好き”が詰まった住まい方を紹介します。

 

今回は会社員の傍ら、作曲家としても活動する木山アキコさんに都市部の狭小地での家づくりについてお話を伺った。

ドイツでの生活が長かった木山さんのテーマは「タイムレスな空間」。流行に流されず好きなものを集めた家はギャラリーのようにゆっくりと時間が流れていく。


都市部での土地探し

賑やかな商業地から少し離れ、入り組んだ住宅地を進んだ先、いわゆる都市部の狭小地に建つ木山アキコさんの自宅。ところが中に入ると、豊かな採光と空間の広がりに驚かされる。

 

「そこまで狙ったわけではないんですが、運よく日当たりがよくて。お隣がたまたまマンションのちょうどアプローチ部分だったり、その奥のお宅も平屋だったりして」

 

都会での新築でまず最初に頭を悩ませるのが土地探し。

十分な広さや採光を得ることは難しい。木山さんの土地探しも当初は難航したという。

 

「最初はほかのエリアで探していたんですが、間口が狭かったり、ハザードマップを見ると災害に弱かったりと不安材料が多かったんです。思い切って今のエリアで探してようやくこの土地に巡り合えたって感じですね」

 

今の土地の決め手は、間口の広さと正方形をした整形地。

凹凸のない土地を選んだことで狭小地とは思えない贅沢な空間づくりに成功した。

 

正方形の土地は自由度の高い設計が可能になるだけでなく、家そのものも凹凸を少なく建てることができるため、耐震性の高い家を建てることができるというメリットも。


ガラスブロックが印象的なダイニングスペース

インターネットで調べた施工事例などを参考に出会った工務店と意気投合し、様々な意見を交換しながら家づくりを楽しんだという木山さん。

 

「私が『こういうのやってみたい』と言うと、いつも『面白い!』と言ってくださったので、私も自分でいろいろ調べて提案して。だからほんとうに一緒に作る、みたいな感じでした」

様々な個性が詰め込まれた木山さんの自宅。その最もアイコンとなる箇所のひとつが、ダイニングスペースのガラスブロックだ。

 

「デザイナーズマンションの雰囲気が好きで、よく取り入れられているガラスブロックを使ってみたいなと思ったんです。ただ、戸建てではなかなか事例が見つからなくて。あっても、スポットで2、3個使っているような事例ばかりで」

 

当初はリビングスペースの窓にガラスブロックを採用したいと考えていたが、耐震面から諦めることに。

「建築法の関係なんですが、家づくりを進めていく中で、ダイニングと階段の間に当初予定になかった柱を入れることになったんです。設計士さんからはいっそ階段とダイニングの間に壁を入れてはと提案されたんですが、それはどうしても嫌で。だったらここにガラスブロックを入れることはできますか?と言ってみたところ『やってみよう』ということになって」

 

当初の想定よりも大胆にガラスブロックを取り入れることが叶ったLDKは木造の戸建てだということを忘れそうになる。

どこか懐かしさを醸すガラスブロックがエッジの効いた空間を演出している。


フレキシブルボードを採用した1階の床

木山さんが自らリサーチして取り入れたもうひとつの建材が、フレキシブルボード。

フレキシブルボードとは内壁や外壁、下地材として使われることが多い。モルタルのような見た目が特徴で、近ごろではモルタル仕上げの代わりにフレキシブルボードを取り入れる施工例も少しずつ増えている。

 

「LDKはウォールナットの床に決めたんですが、無機質なグレーの床もどこか捨てきれなくて。ちょうどその頃、2階部分はこだわって作り込んでるけれど、1階部分がちょっと作り込めてないな、とも同時に思っていたんです。じゃあ1階の床をグレーにしようかなと」

1階の床にグレーの床を採用しようと思ったものの、タイルやモルタルを想像すると、どこか「面白くない」と感じたという。

そんな時にInstagramで見つけたのがフレキシブルボードだった。

ただ、床材として使用する例は極めて珍しく、工務店も初めてのこと。

 

「厚みは何センチがいいのか、仕上げはどうするのがいいのか、すべて自分で調べて工務店さんに提案しました」

 

あえて床材としては珍しい建材を採用したことで、1階には遊び心が加わり、シンプルな中にも新鮮さを感じられる空間に仕上がった。


吹き抜けとスキップフロアがもたらす視覚の奥行き

木山さんの遊び心たっぷりの家づくりは間取りにも表れている。狭小住宅では大胆なスペースの使い方をした吹き抜けと、スキップフロアだ。いずれも当初、工務店から「お勧めしない」と言われたそう。

「コスト面や暖房効率の面であまり賛成はされなかったんです。でも狭小住宅なので縦に視線を伸ばしたいというのがどうしてもあって。あとはせっかく注文住宅なので、建売では難しいと思えることをやりたかったというのもありますね」

 

リビングスペースはおよそ四畳半とコンパクトだが、3階部分まで続く吹き抜けが空間に大きな広がりを与えてくれている。

 

当初は心配された暖房効率も、狭小住宅ということもありLDKのエアコン1台で無理なく賄うことができているという。

 

「ドイツでの暮らしが長かったことも影響しているかもしれないですね。あっちの家は天井高が3メートルくらいあったりして、それがすごく好きだったので。天井を高くしたいと思うと吹き抜けだなって思ったのかも」

 

また、リビングスペースにあるスキップフロアは、空間にメリハリをつけ、家全体に複雑な奥行きを生み出している。

「贅沢な話なんですけど、こんなに狭い家なのに目的のない空間をつくりたかったんです。余白がほしかった。構造的にもちょっと面白い形にしたくて、ただの箱にしたくないというか。そういう点で私の中では絶対に作ると決めていた部分です」

 

3畳半のスキップフロアには現在、木山さんのコレクションのアートやチェアがディスプレイされ、ギャラリーのような空間になっている。

 

「引っ越してきたときに、置き場所に困って所有していたアートをスキップフロアにまとめて置いたら、『あれ、これいいんじゃないかな』と思って。以来、ただ好きなものを置く場所にしよう、と」

 

スキップフロアのチェアに腰かけると吹き抜けの窓から外の景色を臨むことができ、目先が大きく変化する。暮らしから離れ、アートに囲まれたスペースが日常にビビッドなアクセントを落としてくれる。

 

「朝は光が入って気持ちがいいですよ。狭いながらもLDKとはまた違う空間ですね」


生活感を排除した空間の工夫

木山さんは夫と5歳の息子の3人暮らし。ところが、LDKは生活感が感じられないほど、すっきりとまとまり、狭小住宅どころか広ささえ感じられる。

 

家電は見えないように造りつけの収納を造作していたり、照明もオブジェのようなデザインのものを選んだりと、生活感を排除するこだわりは細部にまで至る。

 

「家を建てるときに、家庭感というか、ほっこり感を出さないようにしたいというのは決めていました。流行りに乗らない、タイムレスな雰囲気にしたかったんです」

生活感を排除した空間づくりは生活の雑音を消し去り、ゆったりとした時間が流れていく。

 

また、生活感をオフにする工夫はこんなところにも。

 

「本当は塗り壁にしたかったんですが、3階まで空間が繋がっているので塗るとかなりの広範囲なので。なのでコスト的に諦めて壁紙にして、なるべく塗り壁のように見えるものを選びました。白にもいろんな白があるので木造っぽくならないクールな青みがかった色にしています」

キリリと引き締まった白い壁にお気に入りのアイテムたちが美しく映える。あえて、温もりを感じさせない色を選んだことで、より洗練された印象に。

 

スタイリッシュでありながら流行を感じさせない木山さんの自宅。まさにタイムレスという言葉がしっくりくる。


異素材が生み出す躍動感

ガラスブロックやフレキシブルボード、ウォールナットなど異素材を巧みに取り入れた木山さんの自宅。異素材を組み合わせることで得られる視覚の躍動感が、空間に意外性を与え、心地よい緊張感を生み出している。

「音楽でも家でも服でもそうなんですが、異素材ミックスみたいなものが好きなんです。なるべくひとつのスタイルにハマらないように、ちょっとはみ出るようにしよう、というのがいつもコンセプトにあるのかも」

 

無垢材のダイニングテーブルを囲む椅子はプラスチック製のものと、アルミ製のものが並び、上を見上げると和紙と竹からなる、イサムノグチの照明が浮かぶ。

 

不協和音を奏でることなく美しくまとまって見えるのは、すべて木山さんが自身のアンテナにフィットしたものだけを選んでいるから。

選ぶ基準はいつだって「自分が好き」だということ。

 

限られたスペースの中で細部にこだわり、躍動感と奥行きのある空間を作り出した木山さんの自宅。

 

「狭いという一番の制限はありますが、想定内だったので住んでみて理想とのギャップはほとんどないですね。でも家づくりはすごく楽しい経験だったので建てられるものなら、また建ててみたいかな」

 

こだわり抜いた先にあったのは、どこにもない、自分だけの場所だった。

視覚の広がりで空間に奥行きを 異素材が織りなすハーモニー|家づくりnote

STAFF
[Text] SAE HANE