一番その人らしさが現れる家の空間。“好き”が詰まった“場”には、ちょっとした工夫や色合わせのこだわりが反映されているはず。そんなそれぞれ違った個性を持つ自宅の内装やインテリアについて話を聞いていく企画「イエの探求」。
美容師であるオーナーがオープンした、ファッションとヘアの複合ショップ「jurk(ユルク)」。海外のインポートブランドや国内の個性的なアパレルブランドを扱い、多くのファッショニスタが集う店。名古屋本店でショップマネージャーを務めるmayu sugitaさんの家は、同居する彼の好きなもの、mayuさんの好きなもの、異なるテイストが丁度よく共存するミックスインテリアのお部屋。決めすぎず、外しすぎないミックスインテリアのコツを教えてもらった。
お互いの“好き”を融合させる楽しさ。
もうすぐこの部屋に住んで3年になる。決め手になったのは正方形の形の部屋、コンクリートうちっぱなしの外壁に、ダークブラウンの床の色。そんな家に一緒に住むのは、同じくアパレル業の彼。たくさんの服をしまうためのウォークインクローゼットは必須。いつも陣地の奪い合いになる。
「2人とも好きなファッションは、違うテイストを掛け合わせたミックススタイルなんですよね。古着にインポートのシャツを合わせたり…インテリアにもそれが反映されてる気がします。メインの家具はヴィンテージが多めなんですが、ウッドラックにポップな小物を飾ったりして、テイストの違いをあえて楽しんでいます」
mayuさんはアメリカンポップ、かたや彼は民芸品が好き。ユニークな形のサボテンは2人が好きなもの。互いに好きは譲れないからこそ、あるルールを設けて共存させている。
「同系色でまとめたり、ブルーの横には黒など、色の主張が強いものの隣にはベーシックカラーを挟むようにしています。あとは、あまりテイストを主張しすぎるものは避けるようにしています。大きくロゴが入っていたり、それっぽすぎるものは、部屋の印象を決めすぎてしまうので」
インテリアショップめぐりでお気に入りを発見!
部屋には、さまざまなインテリアショップで集めた家具や小物が並んでいる。ふらりと寄ってみたら思わず買ってしまって…と偶然集まった家具たちばかり。家具との出会いも一期一会。
神戸のアンティークショップ「HOMEWARAD」で購入したのは、ダイニングの机。普段はここでご飯を食べたり、本を読んだり。身長が高い2人だからこそ、フィットする机と出会えたのは奇跡に近い。
重厚感のあるウッドラックもHOMEWARADで購入。ここはお気に入りの香りを飾るスペースに。
「今日は香木のパロサントを焚いています。いつも掃除した後は必ずお香を焚くんですよ。気分に合わせてお香やフレグランスのスプレーを使い分けています」
最近よく訪れるのは、名古屋の「OPERE (オペレ)」。
「ポップな色使いで、ユニークなフォルムのものが多くてつい買っちゃう(笑)。椅子と帽子をかけているスタンドもOPEREで買ったものです。彼が料理好きでスパイスカレーやタコスなどの多国籍料理をつくるので、お皿もいくつか購入しました」
中でもお気に入りは、白い丸テーブル。
「最初はソファとテレビの間に置こうと思ったんですけど、フォルムがオブジェっぽいので、ディスプレイ台として活用しています。レコードプレイヤーやヘッドフォンを飾ると、レトロポップ感も出てお気に入りのコーナーになりました。最近はフィッシュマンズやジンジャールートがお気に入りで、よく聴いています」
出会ったときのときめきを信じて、少しずつ集めた家具や小物。最初から決めすぎず、自分たちの暮らしに合わせて部屋をつくっていくのが楽しい。
DIYでほどよく脱力感を
丁度いいものがなければDIYしちゃおう。それもお気に入りの空間をつくるためのひとつの手段。
「部屋の広さがある分、ソファやテーブルもある程度大きさがある方がバランスがいいんですよね。でもその分、値段も比例するので(笑)。ホームセンターでブロックを買って、木の板を塗ってテレビ台をつくりました」
壁にディスプレイされているのは、なんとmayuさんがつくったラグマット。
「彼がお気に入りのエイリアンのスウェットがあるんですが、それをラグにしたらかわいいかな〜と思ってつくってみました。壁にかけてみたら、割といい感じ。あまりこれって決めつけすぎずにディスプレイするのも楽しいですよ。基本は自分たちの好きなものを集めていますが、お店の人にオススメのアイテムを聞いて買ったり、友だちからもらった食器を使っていたり。ルールで縛りすぎないのも、心地よく暮らすコツかもしれないですね」
ファッションにも通ずる、色使いを意識したインテリアのスタイリング
アパレルを仕事にする2人のメインスペースといっても過言ではない、ウォークインクローゼット。たくさんのアイテムがあっても、すっきり見えるディスプレイのコツを教えてもらった。
「私も彼もナイキとかプーマなどのスポーツブランドのヴィンテージアイテムが好きで、コーナーを設けてディスプレイしています。スウェットもめちゃくちゃ多くて。兼用しているアイテムも多いので、私のもの、彼のものと分けずにディスプレイしています」
椅子の上には、きれいにたたまれた古着のスウェットやカラフルなニットたち。まるでショップのよう!
「これは職業病だと思うんですけど、洋服の色はグラデーションになるようにレイアウトしています。濃い色から始まって真ん中が白、そこから薄い色へ。真ん中に白を持ってくるときれいに見えるんです。ニット、ナイロンと素材で分けて統一感を出すとすっきり見えますよ」
自然に囲まれた理想の平屋住まいとは
ファッショニスタの2人だけあって、服はどうしても増えてしまうもの。将来的には、広いクローゼットがある家に住みたいと考えているそう。
「彼は古着屋をオープンするという夢があるので、いつか家と併設のショップをつくりたいです。家は平屋に憧れがありますね。姉の家が縁側付きの平屋に住んでいて、遊びに行くたびに私もこんな家に住んでみたいなって」
憧れの平屋で挑戦したいのは、和モダンを基調にしたミックスインテリア。畳にあえてチェックのラグを合わせたり。やはり遊び心満載の家になりそうだ。
「私の勤めるユルクは、デザイナーブランドとインポートの洋服のお店なんですが、彼の古着屋ができたら古着とユルクの服をミックスさせてコーディネートしたいな。靴はスタイリングの要なので、最後に全身のスタイリングをチェックできる大きな鏡を玄関に置きたい。やっぱりファッションが中心の家になっちゃいそうです(笑)」
インテリアもファッションも、まずは自分の感性を信じてみる。mayuさんの部屋のように異なるテイストの融合を楽しみながら、自分らしい暮らしを探求してみよう。
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STAFF
[Text]
YUKARI MIKAMI