一番その人らしさが現れる家の空間。“好き”が詰まった“場”には、ちょっとした工夫や色合わせのこだわりが反映されているはず。そんなそれぞれ違った個性を持つ自宅の内装やインテリアについて話を聞いていく企画「イエの探求」。
今回は、3人のお子様と一緒に暮らす会社員のトトトさんのご自宅へ。DIY術や気分転換に繋がる模様替えの大切さについて語っていただきました。
収集癖からDIYでモノを長く使うように
駅前から少し坂を登った先に見えてくる団地。トトトさんの家に入ると団地とは思えないほどの開放感のある空間が広がる。住み始めてみて4年経つこの家で、断捨離と手軽にできる工夫を繰り返したことで、自分の好みにあった生活空間が実現したそうだ。
「引っ越してきた当時は、前の家にあったものをとりあえず全て持ってきてしまったので、リビングに食器棚や大きな机などモノで溢れかえってたんです。もともと自分の性格的にも収集癖があるので、もったいないと思ってしまって…(笑)。でも住み始めてから子どもの成長に合わせていらないものを明確化できるようになりましたね」
そうして必要最低限に残った様々な家具は、言われないとわからないほどにトトトさんのDIYが施されているというから驚きだ。
「PinterestやInstagramを見る中でつくれそうなものがあれば、ぶっつけ本番でやっちゃいますね(笑)。これまで長く使ってきたものばかりなので、失敗してもいいかなという気楽な気持ちで試してみてます。住み始めた当初は、茶系の家具で揃えていたのですが、それぞれの茶色が微妙に違うことからしっくりこなくて、そこから自分で気分に合わせて色を変えていったことが最初のきっかけでした」
あまりにも自然に馴染みすぎて気がつかないほどに様変わりしているリビングのダイニングテーブルの表面や玄関にある椅子、額縁などなど。自分の気分に合わせて、家具の色をスプレーペンキでサクッと手軽に変えているそう。白色と灰色を家全体の基調にしているため、浮いてしまうビビットカラーをあえてバッグに包んで隠したり、そうしたちょっとした工夫を加えることが空間全体の統一感を生み出す秘訣なんだとか。
みんなにとって居心地の良さを作る模様替え
「ほかにも窓際に置いている低い棚は、もともと二段だったのですけど、ちょうど子どもの目線に当たる高さになってきたことで、思い切って一段に切ってヤスリかけしました」
10歳、8歳、4歳の男の子3人兄弟の賑やかな空間。棚のDIYにはじまり、長男、次男が小学校に入学したタイミングで、オモチャを断捨離したり、子ども部屋を確保するなど大胆にレイアウトが変わっていったという。かといって、何でもかんでも捨てればいいというわけではなく、あくまでも大切にしているのはみんなで楽しんで暮らせる部屋づくり。
「子どもたちには定期的に、残しておきたいオモチャを確認しますね。意外といらないとはっきり言うものもあって。一応、その後忘れたようにあるか聞いてくる時があるのでしばらくは隠して取っておくんですけど、大半は本当に捨ててOKなものですね。逆に、その中で壊れていても、子どもたちがセロテープで無理やり止めてるものは絶対に残しておきたいものなんだなって気がつきます(笑)」
模様替えは、子どもたちとの生活を快適にするだけではく、自分の気分転換にもなるのだと続ける。
「少し前まで仕事で大変な時があって、その時はどんどん部屋が汚くなってたんですよね。もはや片付ける気にもなれなくて。でも、だいぶ落ち着いてきたときに部屋を綺麗にして模様替えをしたら、気分もポジティブになれました。模様替えしてもその中身は変わっていないので、子どもたちとも片付ける場所は全員同じ認識ですね」
特に子どもたちは、トトトさんと一緒に掃除デーを設けているわけではないけれど、床磨きは率先して床がベチャベチャになるくらいまでみんなで楽しんでやってくれるんだとか。
部屋の隅々まで意識されたDIY術
最近、模様替えしたのは、葉が開いてきた観葉植物の位置。引っ越してきた当時は家具の位置にも模索していたそうだが、ここ最近は家具の定位置を決めた上でインテリアの小物の配置を少し変えているそうだ。
リビングでの取材を終えて、ほかの部屋を見せてもらうことに。水回りにもトトトさんのDIY術がふんだんに施されている。
「普通の独立洗面台だったのですが、もう少し可愛くできないかなと思ったときにPinterestでコルクボードの参考イメージを見つけたんです。本来であれば洗面台のもとのネジを外して直接貼り付ける方法だったのですが、うちは古すぎてネジが潰れちゃっていたので、そのまま上から貼り付けました。電球はもともと独立洗面台にあったものを連携できるようにボードをくりぬいて。これは何日かかけて工夫してつくりましたね」
洗濯機の上にも同じ素材で作られた棚がかけられている。そこでも化粧品の試供品を意図的に隠さないことで、溜め込まずにちゃんと使い切れるようにするトトトさんならではのちょっとした意識が見える。
何度か試してみて気がつく自分の家にフィットする機能性
そこから家の奥に入り、みんなが集まるリビングと寝室への開放感についてはどのような工夫をしたのだろうか?
「住み始めた当初は低い家具の方が、広く見えるかなと思い込んでこだわっていました。でも、結局小物が多くてあちこちに散らばってしまって。そこで、いまリビングの壁際に置いてある大きい棚の一箇所に集めるようにしました」
下の段は箱わけされた子どものおもちゃ、上段はトトトさんのものを置くことでお互いのプライバシーを保てるようにしているという。ここでも、ちょっとしたDIYが全体の印象を変える。「黒色の小物箱は、実はもともと木箱だったんですけど、スプレーペンキで大まかに塗っていて。白色・灰色の差し色として黒色を入れています」
NONDESIGNなら、理想の暮らしを手に入れられる。
子どもたちとの暮らしを考えながら、自分の気分に合わせてDIYライフスタイルを過ごすトトトさん。そんな彼女が描く理想の暮らしとは?
「綺麗な家に住む願望より、平屋など昔の作りをした家に自分の好きなものを装飾していきたいですね。あとは生活動線がなだらかにつながるスペースも理想的です。例えば、洗濯機からクローゼットまで繋がっていたり、リビングから見える位置に子どもが遊べる庭があったり。自分の好きなものに囲まれながらも、便利性・機能性もある家だったら、よりみんなが自由に楽しく暮らせそうですね」
NONDESIGN のお家はデザインを削ぎ落した、どこまでもシンプルな四角い「箱」。だからこそこの家は住む人が思いきり自由にできるように、あえてシンプルに。
真っ白なキャンバスに、あなたらしさを描いて、箱の中にお気に入りを詰め込んだら、世界にひとつだけのあなたの家が出来上がります。
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[Text]
YOSHIKO KURATA