一番その人らしさが現れる家の空間。“好き”が詰まった“場”には、ちょっとした工夫や色合わせのこだわりが反映されているはず。そんなそれぞれ違った個性を持つ自宅の内装やインテリアについて話を聞いていく企画「イエの探求」。
今回は、誕生日に刻まれた数字を読み解くことで、運命や使命、性格などを知る数秘術。その数秘術を取り入れた独自のコンテンツを発信しているAZさんのご自宅へ。家のあちこちには数秘を取り入れながら、心もからだも健やかに暮らすヒントがたくさん詰まっている。
徳島へ移住したことが転機に
生年月日の数字などをもとに、運命や使命、性格を読み解く数秘術。
徳島へ移住したことをきっかけに、AZさんは本格的に数秘術に取り組み始めた。
「20歳ぐらいのときに数秘術に出会って、すごくしっくりきたんですよね。そこから海外で出版されている本などで勉強して、趣味で周りの人を占ったりしてたんです。占いをしたかったというより、数秘が好きになったんですよね」
東京から徳島に移住したタイミングで、10年ほど続けていたイラストレーターの仕事を辞めたAZさん。何をしようかと考えていた時に、自分には数秘術があることに気づいたそう。
最初は徳島のカフェや東京での出張鑑定からスタート。AZさんの発信するブログや口コミから多くの人から依頼を受けるようになった。
旅好きだったこともあり、国内外の旅先で鑑定や、動画配信を行うこともあり、当時は「旅する占い師」と名乗っていたんだとか。
部屋にはモロッコのランプシェードやインドの置物など、当時旅で手に入れたものも飾られている。
コロナが蔓延し始めたタイミングで、AZさんは転機を迎えた。
「旅する占い師を名乗っていた時は、旅が生活の中心だったので、家にはあんまり関心がなかったんです。でもだんだん違和感を感じていたんですよね…旅にも行き尽くしたというか。
そんなことを感じていたタイミングで、コロナで外出できなくなったので、家から動画配信する機会が増えたんです。でも物が雑然とあるような家だったので、配信できるような環境じゃなくて(笑)。今の家に引っ越すことにしたんです」
新しい家では、数秘術を取り入れたインテリアや自身のライフスタイルなども配信するように。それに伴い、動画のフォロワーもどんどん増えていったそう。
オンオフのスイッチが切り替わる空間
AZさんが動画撮影や配信、執筆などを行うのは、スモーキーピンクを基調にした部屋。これはAZさんの数秘からイメージして部屋のカラーや小物を置いているそうだ。
「例えば現在と過去とか、内面と外見とか、人はいくつかの数秘を持っているんです。この部屋は、外見を表す数秘をモチーフにしています。私の外見の数秘は「33」。「33」はカラフルでハッピーなイメージの数秘なので、賑やかな空間になりました。数字の持つ意味や言葉を解釈して、色やモチーフ、香りなどをイメージしてそれを部屋に落とし込んでいる感じです」
部屋に置かれているのは、カラフルな花器。ドイツ・ミュンヘンのインテリアブランドKAREのものだそう。
モダンでラグジュアリーなドイツを代表する家具ブランドのKARE。デザイン性の高さと遊び心のあるアイテムが人気。
「もともとフリーダ・カーロという画家が好きなのですが、この花器はおそらくフリーダの作品をモチーフにして作られたものだと思うんです。お花を活けたら絵を再現できるんですよ。一目惚れで即買いしました(笑)。
上が球体になっている花瓶もKAREのものです。KAREはカラフルだけど、どことなく品のあるデザインが多くて、とても好きなブランドです」
対照的に、私の内面の数秘は「11」。この数秘はアーティスティックで繊細な数秘を表すものであり、そのため寝室は爽やかなブルーを基調としたデザインになっています。また、やさしい色や素材を使ったファブリックを配置しているそう。
「そうやって棲み分けることで、仕事部屋にいる時は活動的になれるし、寝室は素の自分に戻ってリラックスして過ごせる。
オンオフが切り替えられるんです。部屋でそれを表現できるようになってきてから、すごく心地がいいというか。占いを現実に落とし込めるようになって、しっくりきた気がします」
数秘を取り入れた暮らし
リビングにも、数秘を取り入れた暮らしが散りばめられている。撮影時の6月は、数秘術によると「4」がキーワードになるそう。
※数秘術により、「2+0+2+3+6=13(1+3=4)」が算出される(AZさんのHP「AZ WORLD!」参考:https://atozworld.love/numerology_matome」)
「4には安定や基盤という意味があって、連想するのは緑色や植物。部屋を大きく変える必要はなくて、お花や香り、食べ物などで数字の持つエネルギーを取り入れている感じでしょうか」
AZさんが制作しているキャンドルやフレグランスも、数字をイメージして香りと色を決めているのだそう。制作したグッズは月に一度開かれるオンラインストアで販売している。オープンするとすぐに完売してしまうことも。
「占いだけだと診断結果を伝えるだけで、何も形に残るものがないと感じていました。そこで、占いが形として残るといいんじゃないかと思い、生活に取り入れやすいものとしてキャンドルで表現することを考えました。
ライフスタイルに占いのエッセンスを少し取り入れることで、ちょっと前向きな気持ちになり、リフレッシュできる。そんな風に使ってもらえたらなと思っています」
「わたしのために」住まう家
数秘を取り入れ、自分を知る。自分のこころと対話をしながら、日々の生活を積み重ねていっているAZさん。でも本格的に数秘を始める前までは、「消費型人間だった」と言う。
「東京にいた時は、流行ってる物やことばかりに注目していました。情報が多すぎて、見えてるものの中でどれにしようかって考えていたと思います。
向こうにいたときは、自分を知るとか自分らしく生きるなんて考えたこともなかった」
東京でいろんなものを手放して、徳島に移住。徳島に来てからもたくさん「手放す」出来事があったそうだ。
「私には数秘術があるんだって、気づいたのも全部なくしたからだと思います。自分が執着していることを手放してしまわないと、見えてこないものもあると思うんですよね。自分探しって言うけれど、そんなに簡単なことじゃない。たくさんの情報を抱えたままで、自分のエッセンスを取りだしていくのってなかなか難しいことですから。自分を知るってすごい勇気と技術がいることだと思うんです」
自分にとって、心地のいい部屋、環境、仕事や人間関係。
今では「自分が何が必要か、必要でないか」取捨選択ができるようになったから、手に入れられたものもある。
「私にとって、それを見つける術の一つが数秘術だったと思うんです。そうした体験があるからこそ、数秘の取り入れ方とか、ライフスタイルを配信して、自分を知るためのヒントをお伝えできたらなって。自分のスタイルを見つけるのは難しいことだけど、どんなことが自分にフィットするのか体験したり、いろんなものに触れてみたり、やめてみたり。粘り強く探し続けることが大事なんじゃないでしょうか」
流行りや情報から少し離れて、自分が本当に好きなものは何かを探してみる。「わたしのために」住まう家をつくるための一歩は、そこから始まるのかもしれない。
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STAFF
[Text]
YUKARI MIKAMI